2022.10.10
【プロの投資家は必ず調べる】FX投資の「2大コスト」を理解する
元金融機関のプロ為替ディーラー
沖縄トレード学院 学院長の新里竜一です。
FXの取引は「安くなったら買って高くなったら売る」などの
価格差を利益に変えるので、値動きに意識が向くものです。
しかし、FXの取引を行ううえで見逃せない費用(コスト)があります。
今回は、FX取引の「2つのコスト」についてお伝えします。
FXの2大コスト
①スプレッド
スプレッドとは「通貨の買値と売値の差」のことを言います。例として米ドルを100万円分、購入したい場合の取引相場は「買いたい時は1ドル110.1円、売りたい時は109.9円」で取引されることが通常です。(差額は取引ごとに変動します。)
何故スプレッドが発生るするかというと、例として投資家の注文である「100万円分、ドルを買いたい、売りたい」という要望にFX業者は応えるため、世界中の銀行間ネットワーク(インターバンクとも呼ばれます)から「100万円分の米ドル」を買ってくれる人、売ってくれる人を探します。
その際、場合によっては「米ドルを買いたい人が7割、売りたい人が3割」になる状況が発生します。その場合は投資家の「米ドルを買いたい」要望に対して売りたい人が3割しかいないので、どうしても「相場より高い値段で米ドルを仕入れる」ことになります。(相場より安い値段で米ドルを売ってくれる人がいない)
このように通貨の需要と供給で売値と買値が変動することで買値と売値の差が生まれます。
このスプレッドはFX業者は取引時間帯でも大きく変動します。
毎月のアメリカの雇用統計発表直後の数秒は取引が交錯し、スプレッドが数倍になる場合もあります。本来500円の取引コストで済んでいたのが1000円になる可能性もあります。投資金額が大きい場合、本来5万円の取引コストで済んでいたのが10万円の取引コストになる場合もあるのです。
この取引手数料を把握しておかないと、どんな投資のプロでも手数料がかさんで損失を出してしまいます。
また、具体的な取引手法の影響として、スプレッドが大きい場合と小さい場合で、どちらも同じに感じるかもしれませんが、スプレッドが小さい方が値幅による利食いが約定しやすく、損切が成立しにくいというメリットがあったりします。
例えばドル円を100円で買って101円で売るという取引をおこなって下記レートだった場合に違いが出てきます。
スプレッドが大きい → 売値 100.990 – 買値 101.010
スプレッドが小さい → 売値 101.005 – 買値 101.010
スプレッドが大きい方は売値が101円に届かず利食い決済ができず、スプレッドが小さい方は売値が101円を超えているので利食い決済ができ、次の売買機会を待つことができます。
なお、取引時間中のスプレッドを調査することも重要です。当スクールの自動売買コースでは「スプレッドの高い時間帯には取引、売買をしない」自動売買システムを作ることを推奨しています。
1年、2年投資をしていくとスプレッドだけで利益が10万円、100万円の差が出ることがあります。少しでもスプレッドを節約するためには「スプレッドが広い時は取引しない」ことが利益と資産を守る第一歩とお伝えしています。
①取引手数料
スプレッドとは別に取引する度に発生する手数料です。例として「米ドルを100万円分購入したらスプレッドとさらに500円、追加費用が掛かる」というイメージです。現在では無料が主流となっておりますが、投資資金が少額から取引できる海外FX業者では手数料が発生することは珍しくありません。
海外FX業者では、売りと買いの差を表すスプレッドが大きい場合は手数料がかからず、スプレッドが小さい場合は手数料がかかります。
手数料無料 → スプレッドが大きい
手数料有料 → スプレッドが小さい
「スプレッド」と「取引手数料」の違いは、スプレッドは取引時間帯でも変動する場合がありますが、取引手数料は取引量に応じて通常は変動がありません。(投資金額の0.5%など)
よって、通貨や投資スタイルによって「手数料ありでもスプレッドが低い方が良い」場合は取引手数料ありのFX業者をあえて選ぶ場合もあります。
海外FXと国内FX
理想はスプレッドが小さくて手数料がかからない環境です。国内FX業者はその環境が整っておりますが、レバレッジが25倍までとなっており海外FX業者に比べて資金が必要です。
また、投資資金以上の損失が発生した場合に補填してくれるゼロカットシステムも導入されてないため万が一の事が発生した場合に想定外の損失を招く恐れがあります。
海外FX業者と国内FX業者の違いをまとめると下記のようになります。
・海外FX業者 → 取引コストは高い。敷居は低い。投資資金以上の損失が無い(業者による)
・国内FX業者 → 取引コストは安い。敷居は高い。投資資金以上の損失が有る
FX業者で完璧な環境を提供しているところは無く、メリットとデメリットが存在します。どちらも理解して選ぶことが自分の資産を守ることに繋がります。
まとめ
FXは長い目でみると取引環境によって収支に差が出てきます。また環境は日々変わる可能性があるので、「昔から使っているから」という理由で他の環境を検討しないというのは利益の機会を逃している可能性があります。
年に1回ぐらいは取引環境を見直してみてもよいかもしれませんよ。
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FX会社大手の金融機関「外為どっとコム」で為替のプロディーラーとして約7年間勤務。世界の銀行を相手に毎日数百億円の取引を行う。
現在は沖縄トレード学院の学院長として、数百の自動売買システムで検証した再現性ある投資手法を「一生使える投資の技術」として延べ800名以上の受講生に伝え続けている